VODで配信されている映画やドラマを画面録画して保存したい、と考えたことがある方は少なくないのではないでしょうか。オフライン視聴のためにダウンロード機能では対応できない作品を手元に残しておきたい、という気持ちは理解できます。
しかし、VODコンテンツの画面録画は、著作権法に抵触する可能性が非常に高い行為です。知らなかったでは済まされないリスクがあるため、正しい知識を身につけておくことが重要です。
この記事では、VODの画面録画に関する著作権のルールを、法律の難しい言葉をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。

そもそも著作権法の「私的複製」とは
著作権法では、個人的に楽しむ目的での複製(いわゆる私的複製)は認められています。たとえばテレビ番組を自宅で録画して後で観る、といった行為がこれに該当します。
ただし、私的複製にはいくつかの重要な例外があります。その中でもVODの録画に直接関係するのが、「技術的保護手段の回避による複製の禁止」です。
VODのコンテンツにはDRM(デジタル著作権管理)という技術的保護手段が施されています。このDRMを回避して録画する行為は、たとえ個人的な視聴目的であっても、私的複製の例外として違法となります。
DRM(デジタル著作権管理)の仕組み
DRMとは、デジタルコンテンツの不正コピーを防止するための技術です。主要VODで採用されている代表的なDRM技術は以下のとおりです。
- Widevine:Google が開発。Android端末やChromeブラウザで使用
- FairPlay:Appleが開発。iPhoneやiPad、Safariで使用
- PlayReady:Microsoftが開発。Windows環境やEdgeブラウザで使用
これらのDRMにより、VODのコンテンツは暗号化された状態で配信されます。スクリーンレコーダーなどで画面を録画しようとすると、映像部分が真っ黒になるのが一般的です。これはDRMが正常に機能している証拠です。
そもそも手元に残さなくても、テレビの大画面で観れば満足度は十分に高くなります。テレビにVODアプリが入っていない場合は、HDMI端子に挿すストリーミング端末を足すという方法もあります。

画面録画が違法になるケース
DRMを回避して録画する場合
DRMの保護を何らかのソフトウェアやツールを使って回避し、VODのコンテンツを録画・保存する行為は、著作権法で明確に禁止されています。これは私的使用目的であっても違法です。
著作権法第30条第1項第2号により、技術的保護手段の回避による複製は私的複製の範囲外とされています。つまり、「自分で観るだけだから」という理由は通用しません。
録画した映像を共有・公開する場合
万が一録画に成功した映像をSNSや動画共有サイトにアップロードした場合、著作権侵害(公衆送信権の侵害)に該当します。この場合はさらに重い罰則が科される可能性があります。
録画した映像を販売する場合
録画した映像を販売する行為は、著作権法違反に加えて不正競争防止法にも抵触する可能性があり、極めて重大な法的リスクを伴います。
著作権法違反の罰則は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方です。法人の場合は3億円以下の罰金が科される可能性があります。
VODの利用規約でも禁止されている
著作権法とは別に、各VODサービスの利用規約でもコンテンツの録画・複製は明確に禁止されています。利用規約に違反した場合、アカウントの停止や削除といった措置が取られる可能性があります。
Netflixの利用規約では、コンテンツの複製・ダウンロード(サービス内のダウンロード機能を除く)・録画・配信を禁止しています。U-NEXTやAmazon Prime Videoなど他のサービスも同様の規定を設けています。
Netflixの利用規約で詳細を確認できます。

💡 オフライン視聴にはダウンロード機能を使うのが正解ですが、視聴するデバイスにもこだわってみてはいかがでしょうか。大画面テレビなら、自宅で合法的に映画館クオリティの映像を堪能できます。

合法的にオフライン視聴する方法
画面録画に頼らなくても、合法的にオフラインで動画を楽しむ方法はあります。
公式のダウンロード機能を使う
Netflix、U-NEXT、Amazon Prime Video、Disney+など、主要VODはほぼすべて公式のダウンロード機能を備えています。Wi-Fi環境で作品をダウンロードしておけば、インターネット接続のない場所でも視聴可能です。
本ページの情報は記事執筆時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。



ただし、出発前に何本もまとめてダウンロードするとなると、自宅のWi-Fiの速度がそのまま待ち時間に直結します。時間がかかりすぎると感じている方は、ルーターの見直しも一つの手です。
ダウンロード機能には以下のような制限がありますが、通常の個人利用であれば十分に活用できます。
- ダウンロードできる作品数に上限がある(一般的に15〜25本程度)
- ダウンロードした作品には視聴期限がある(48時間〜30日程度)
- 一部の作品はダウンロードに対応していない
- 同時にダウンロードできるデバイス数に制限がある
ダウンロード機能の詳細はサービスによって異なります。旅行前など長期間オフラインになる場合は、事前にダウンロード可能な本数と視聴期限を確認しておきましょう。
長距離の移動中に何本も再生すると、スマホやタブレットの電池はかなり減ります。オフライン視聴を前提にするなら、モバイルバッテリーを1つ持っておくと安心です。
💡 外出先でダウンロードした作品を楽しむなら、ノイズキャンセリング付きのヘッドホンやイヤホンがあると周囲の音を気にせず映画に集中できます。



よくある疑問
スクリーンショットは違法?
VODの画面をスクリーンショットで1枚撮影する行為については、法的にグレーゾーンとされています。DRMが機能している環境ではスクリーンショットも真っ黒になることが多いですが、仮に撮影できたとしても、利用規約では禁止されているケースがほとんどです。SNSなどで共有すると著作権侵害に問われる可能性があります。
テレビに映したものをカメラで撮影するのは?
テレビ画面をスマートフォンのカメラなどで撮影する行為も、技術的保護手段の回避には該当しませんが、著作物の複製にあたります。私的使用目的であればグレーですが、それをSNSなどで公開すれば著作権侵害になります。
手元に残すことを考えるより、観ているその瞬間の満足度を上げるほうが結果的に得られるものは大きくなります。買い替えを検討しているタイミングなら、4K対応モデルを見ておくのもいいかもしれません。
海外では合法な国もあるの?
著作権法は国ごとに異なりますが、主要国のほとんどでDRM回避は違法です。アメリカではDMCA(デジタルミレニアム著作権法)により厳しく規制されており、EUでも同様の法整備が進んでいます。
著作権に関する詳しい情報は、文化庁の著作権ページで確認できます。


まとめ
VODの画面録画は、DRMの回避を伴う場合、たとえ個人的な利用目的であっても違法です。著作権法違反として重い罰則が科される可能性があるだけでなく、VODのアカウント停止のリスクもあります。
オフラインで動画を楽しみたい場合は、各サービスが提供する公式のダウンロード機能を利用するのが唯一の合法的な方法です。
著作権のルールを正しく理解し、安全にVODを楽しんでください。不明な点がある場合は、公益社団法人著作権情報センター(CRIC)のサイトで詳しい情報を確認できます。
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